"Overdrive IV" (2015) | 藤田明 鉛筆画作品集 empty colours (AKIRA FUJITA) pencil drawings "grayscale"

2015/12/13(Sun)-2016/01/11(Mon) 10:00〜18:00〔最終日は 〜17:00〕
art・age Gallery〔愛知県豊橋市〕※12/31〜1/4は休廊です。

※会期中の週末は、出来るだけ在廊したいと思います。
　Twitter（@emptycolours）にて在廊予定などをお知らせする予定です。
⇒ 「Facebookページ」でも情報発信をして行く予定ですのでお楽しみに！

駿河から愛を込めて

昨年の秋、東京・世田谷の実家以上に永年住み慣れていた浜松市を離れ、静岡市駿河区に住居兼アトリエを移しましたが、それから早くも1年以上が過ぎました。居を移してからも展覧会の折には、静岡県中部・西部〜豊橋・豊川エリアを中心に、関西や首都圏など思いもかけない遠方の皆さんにもご来場いただき、また、県内・近県の作家仲間や画材商・額装店との交流も、以前と変わらず続いていることを、とてもありがたく感じています。

今回は、豊橋市のart・age Galleryさんだけで7回目、通算では29回目の個展となりました。永年ご支援いただいている皆様にも、最近WebやSNSなどで見つけてくださった方々にも、改めて厚く御礼申し上げます。

「砂漠の杏子(あんず)」(2015年作品)

紙の無意識／水の無意識：「鉛筆にもまだ、出来ることがある..」

繰り返し申し上げている話ですが、鉛筆は筆記用具や製図用具としての王座を失って久しいのですが、愛すべき「文房具・雑貨」として、そして何より他の画材との相性に優れ、鉛筆自身もまた可能性豊かな「画材」として、まだまだ新しい未来があると僕は思っています。

「子供時代の楽しい記憶」(2015年作品)
ことに、「水彩鉛筆」の存在は芸術家にも認知度が低く、また、それによる優れた作例も見かけたことがありません。墨とも水彩絵の具とも異なる質感で、乾けば普通の鉛筆と混ざり合う色調で、ある程度消しゴムも利く、非常に面白い画材だと感じています。みんな使わないのなら、こいつの「第一人者」になってやろうなんてニッチな世界に想いを馳せます。

「空を飛ぶ夢 (2)」(2015年作品)
藤田は鉛筆・黒鉛粉・水彩鉛筆など黒い鉛筆と同じ黒鉛系の画材によって無作為につけた汚れから発想を膨らませて、様々な独自の技法を駆使して作品を創っています。偶然の効果と感覚的な直感を頼りに描いていくため、いわゆる抽象画とも空想的な絵画とも違います。どんな作品を描いているかを説明するのにはいつも苦労しますが(笑)、こういう描き方や発想法を「紙の無意識」と呼んでいます。水彩鉛筆を使う場合は「水の無意識」と区別して呼ぶこともあります。

「Solid Colours：太陽と風のちから (2)」(2015年作)
まるで、遺跡や化石を発掘するように、この技法によって、自分自身でも何を描いているかわからないままに描き進めて行きます。そうして出来上がる作品は、二度と同じものを描くことができない一期一会の作品であり、毎回自分自身でも驚きながら興味や情熱が尽きることなく描き続けることができます。

僕の場合は少し珍しい描き方ですが、鉛筆は面白いです。鉛筆が売上高や作品の数の記録で「No.1」になることはなくても、決して滅びることはないと思います。ちょうど楽器の世界でのバイオリンのように、鉛筆も独自の居場所があればそれで良いと僕は思うのです。

「空を飛ぶ夢 (3)」(2015年作)
やっぱり大切なことは、創造力と感受性なのです。
僕はエレキギターを様々な機材や演奏法を開発してロック・ミュージックの可能性を拡張したアーティストたちのように、鉛筆をオーバードライブさせたいのです。なんてな(笑)。

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今年静岡県下各地で開催したいくつかの展覧会でお披露目した2015年制作の作品21点と、本展のために描き下ろした新作32点を合わせて、総計53点を出品します！なんと、今回は全て今年描いた作品たちで構成しています！

年末年始のお忙しい時期かとは思いますが、日常の喧騒を離れに来てください。
どうぞお楽しみに！